2023年03月11日
3月10日(金)、2023年になり初めてのホンモノ講座を開催しました。今回は、大分県の徳田靖之弁護士をお招きし、「人権裁判から私が学んだこと」というタイトルでハンセン病国家訴訟をはじめとする、人権裁判の場で経験されたことについてお話をしていただきました。
徳田弁護士は1973年から大分県で弁護士活動を始められ、これまで多くの人権裁判に関わってこられました。特に、2002年のハンセン病国家訴訟で勝利判決を勝ち取ったことで有名です。延校長とも長年、ハンセン病問題を通じて長年の間ご親交があり、この度、盈進までお越しいただきました。
講演では、幼いころ障害を持った友達の言葉から感じたことをはじめとして、人間を守るとはどういうことかを優しく、あたたかいまなざしで語ってくださいました。先生は薬害エイズの問題にも携わってこられましたが、今の生徒たちと同じ年の子どもたちが血友病の治療として接種した血液製剤でHIVに感染し、たくさんの差別を受けてきたことを語ってくださったとき、生徒は自分だったらどうだろうかと考えながら聞いているようでした。
徳田弁護士は、ハンセン病訴訟で勝利し、国が控訴をしなかったとき、涙を流して喜ばれたそうです。ハンセン病問題は「人間回復裁判」と言われています。徳田弁護士はお話の中で「『生きる』というのは、素晴らしい人たちと出会うこと」とおっしゃっていました。長年の弁護士活動で、たくさんの人たちに出会い、たくさんの人生と向き合ってきたからこそ出る言葉に、会場中が感動の雰囲気に包まれました。特に、中学生は全員、1年次に「ハンセン病問題から学ぶ」という授業を6年の先輩から受けてきています。先輩から学んだことと今日のお話が重なり、差別のひどさとそれを乗り越える人間の強さ、そして徳田弁護士のような、寄り添い続ける方がいたから国家訴訟に勝利したことを知ることができました。
ハンセン病問題について語られるなかで、ハンセン病に感染した友達にずっと寄り添い続けた黒木君という少年を紹介され、「あなたは黒木君のようになれますか」と生徒に問いかけておられました。感想の中で、多くの生徒は「私は黒木君のようになりたい」と書いていました。寄り添うことの意味、そして強さを徳田弁護士に教えて頂いた時間となりました。
講演の最後は質問コーナーです。「弁護士はAIにとって代わられるのか」という生徒の質問には、「人の心を扱う弁護士と教員は最後までAIに代わられないと私は信じている」と強く語られる姿に、生徒だけでなく、教員も背筋が伸びる思いでした。
講演会の後は、法曹を目指す生徒や興味がある生徒との座談会も行いました。一人ひとりの質問に丁寧に答え、そしてどの答えにも徳田弁護士の限りない人間への信頼があることに生徒も大きな感動を覚えていました。
徳田先生、本当にありがとうございました。