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2025年度 1学期「始業のことば(校長)」

2025年04月04日

1学期始業式 校長のことば

ガザが再び攻撃にさらされ、尊い命が失われ続けている。悲しい。

3月28日、軍事政権下のミャンマーを震源とする巨大地震があった。いまも苦しみ悲しみの中にある人々に心から思い舞を申し上げる。そして、多くの尊い命が失われた。最初にみんなで、1分間の黙祷を捧げよう。

2025年度がはじまった。諸君にとって大きく飛躍する1年になることを期待している。

6年生、悔いの残らぬよう学習とクラブ活動に没頭しよう。受験勉強の態勢も早く整えよう。

5年生、今年度は伝統校私学盈進の中心を担う。頼んだよ。学習も常に受験を意識するんだ。

3年生、中学校の中心を担う学年だ。その自覚を持って、学習もクラブも責任ある行動をとってほしい。

2年生、明日、1年生が希望に胸を膨らませて入学する。手本となりなさい。常にかっこいい先輩であること。行動も言葉遣いも、誇りある盈進生として自覚を持って行動すること。

諸君、今年度は、昨年度以上に本を読もう。すぐに答えを出すAIの時代だからこそ、答えのない問いに挑むためにも本を読んでじっくりと心と思考を鍛えよう。文章を読む、理解する、そして書くという行為は、思考を整理するためにある。それはすべての学習の基本だ。

いま、核と気候変動は、人類が直面する人類の生存をかけた最大の危機となった。

ということを前提に、きょうは、「なぜ“多様性”が大切なのか」をテーマに話をする。

中略

ハンナ・アーレントはファシズムの本質について、こう述べている。人々(大衆)が、社会の中で疎外感や孤独感を抱き、単純なイデオロギー(特定の政治的な立場に基づく考え方)に熱狂して、恐怖政治に加担する点にあると。

中略

ファシズムが招いた悲劇的な歴史を踏まえ、ハンナ・アーレントは次のように説いた。

様々な人間が共存するという「多様性(複雑性)」を重んじ、活発で開かれた論議と対話を通じて、民意を形成する政治こそ、平和や人権が大切にされる社会には不可欠であると。

その考えは、「共に生きる」社会の構築にとって重要な観点であり、私は大いに共感する。

きょうのテーマは、「なぜ“多様性”が大切なのか」である。そう、ファシズムのような悲劇を繰り返さないためにも、アーレントが言うように、異なる意見の『多様性(複雑性)』を重んじ、活発で開かれた論議と対話を通じて、民意を形成することが大切だということである。

いま私たちは、80年前に恐ろしい歴史を繰り返さないように、じっくりと他者の意見に耳を傾けて対話する姿勢と、異なる意見や立場の者を包摂する寛容の精神を取り戻す努力を重ねる以外に、この閉塞感(行き詰まって不安になること)を打破する道はないのではないか、と私は思う。

ファシズムには、人々(大衆)の疎外感と孤独感が背景としてあった。ファシズムは、自分で考えずに、ヒトラーなどのうそぶくリーダーを信じてしまった人々(大衆)が、その政治や軍事支えた。

だから、そんな歴史を繰り返さないために、ひとりひとりの個性を互いに尊重する社会でなければならないし、自分と異なる人と対話することが大切であるのだ。

つまり、学校も教室も個性あふれる空間の方が健全なのである。ファシズムを繰り返さないためにも、盈進共育は「仲間と共に、自分で考え、自分で行動する」と謳っているのである

SNS上では悪質な嘘や誹謗中傷、陰謀論が瞬時に拡散している。それで命を奪われる者もいる。「闇バイト」も、根っこはSNSでの偽情報である。科学的な知見や客観的なデータを無視した言説の正当性を公然と口にする者さえいる。事実の隠蔽にとどまらず、破壊にまで踏み込む虚構の時代に、私は身構えざるを得ない。

こうした時代だからこそ、そして、「自分で考え、自分で行動する」ためにも、本を読んで欲しい。

池田晶子という人を知っているだろうか。すでに亡くなったのが残念だが、とてもわかりやすい文体で物事の本質を若い人たちに伝えた哲学者だった。

この春、彼女の『14歳の君へ』を読んだ。テーマは、「なぜ人は生きるのか?」「何のために生きるのか?」ということである。先の見えない混沌としたこの世界で、私たちはどうやって生きていけばいいだろう。それを自分の頭で考えるために、この本は、「友愛」「個性」「勉学」「社会」「戦争」「宇宙」「言葉」「お金」……いま、考えておきたい16のことを項目として設けて、迷っている心に、自ら考える力を、確かな言葉で、実に根気強く綴ってくれている。高校生が読んでも価値ある一冊だ。

例えば「戦争」の項目にはこんなことが書いてある。

……戦争に反対すると、口で言うのは簡単だ。……難しいのは、そもそも戦争とは何なのか。なぜ人は戦争をするのかということについて、どこまでも深く見抜いていくことだ。考えることだ。考えるほどに、いろんなことが見えてきて、君は考えるのをやめられなくなるはずだ。それで、いいんだ。それは、平和は善で、戦争は悪だと思い込んでいるよりも、はるかに賢いことなんだ。

と、このように書いてある。要するに、物事を単純化して思い込むことは危険であり、そうではなく、「それは本当なのか」「本当は何なのか」「どうしてそうなのか」と考えることが大切なことなんだ、と池田晶子はこの本で伝えようとしている、と私は思う。

2025年度の最初にあたって、建学の精神に基づく「平和・ひと・環境を大切にする学び舎」、盈進共育「仲間と共に、自分で考え自分で行動する」に則り、日常生活の中で大事にして欲しいことをいまいちど確認する。よく、自分で考えて、行動して欲しい。

中略

3月に卒業した開地歩心さん。韓国の最難関大学(日本の慶應義塾大学と言われる)の延世大学に合格した。3月の終業式で彼女を紹介した。思い出して、先輩に続いて欲しい。

再度言う。盈進で一番大切なものは何か。仲間だ。2025年も仲間を大切にして、仲間と共に伸びよう。

Be a Changemaker!自分が変わる。明日を変える。君たち自身で。

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